予防医学として注目される代替医療
日本は2025年、5人に1人が75歳という超高齢化社会をむかえます。高齢者の増加に対して病院や医師は不足し、医療制度自体が崩壊するかもしれません。
現在の医療は、治療することを目的とする対処療法が中心です。必要以上に医療に頼り、過剰な薬剤の服用による健康被害も懸念されています。医療上の問題を目前にして求められるのは、病気の根本原因に着目して、人間が本来持っている生命力を、いかに無理なく自然な方法で保護し増強させていくか、どうしたら病気にならずに済むかという予防医学が必要とされます。
医療の対象も、単なる「患者」から「健康問題や健康課題を持つ人」へと拡大されています。「メタボリック・シンドローム」が良い例ですが、病気未満であっても、病気に罹患するリスクを高めかねない状態は、予防的見地からは治療の対象となります。疾病リスクを高める生活習慣や環境因子が明らかになりつつあり、そうした要因を除去することで病気にかかりにくくすることは、医療費の削減という点からも理にかなっています。
治療を受ける個人の観点から、単に命が延命しても心身の健康が維持されなければ、日々の生活が満ち足りたものとは言えません。QOL(Qoality of Life)は、生活の質と訳されます。「その人がどれだけ人間らしい生活をまたは自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか」を尺度として捉える「QOL」を高めることが医療の中で必須になりつつあります。そんな中、注目が集まるようになってきたのは、アーユルヴェーダ、中国医学、ヨーガといった伝統医学・相補代替医療です。
ヨーガ療法の「アイソメトリック・ブリージング・エクササイズ(ISM)」は、等尺性収縮(iso-metoric-constraction)という負荷がけをする筋力トレーニングで、筋肉に負荷がけをしてから緩めることで神経系に刺激を与える療法にもなっています。ISMの体操を中心に行うヨーガ療法は、筋肉を鍛えて、カラダの緊張を緩めます。ISMは、糖尿病などの生活習慣病、認知症、アレルギー疾患やうつ病など多くの疾患に効果がある研究結果が次々に発表されています。(厚生労働省 代替医療エビデンス ヨガ)
そもそも患部の切除や痛みを緩和するといった対処療法は、根本治療になっておらず、病気の根本原因は患者自身の性格、つまり心の働かせ方にあるのです。ヨーガ療法は、治療に重きを置いた医師中心の医療モデルではなく、患者という人を治療するという考えに基づき、生活の充実感といった患者自身に深くかかわっています。
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